欧州地域税務ニュース 2023年10月号

今号では、欧州連合全体の動きとして「欧州域内事業者共通所得課税(BEFIT)」指令案と移行期間の実施規則が採択された「炭素国境調整措置(CBAM)」を取り上げるほか、英国、ドイツ、オランダ等の主要国における最新の税制改正動向についても解説します。

ニュースレター本文
EMEA Tax News October 2023

今号のハイライト

  1. 欧州委員会からいくつか重要なEU指令案の公表がありました。特に「欧州域内事業者共通所得課税(BEFIT)」に関しては、まだ導入されるかは未定であるものの、実際に導入されれば欧州における税務ストラクチャリングや移転価格管理に大きく影響が出ると考えられます。
  2. 炭素国境調整措置(CBAM)の移行期間における実施規則が採択されました。特定の物品を欧州域外から輸入している法人は2023年10月~12月の四半期に関して2024年1月末までに特定の情報を申告する必要があります。
  3. 英国では、2023年税制改正における移転価格文書化義務に関するガイダンスが公表されています。
  4. ドイツでは、2024年の税制改正案として「経済成長促進法」および「不動産移転税法」の改正法案ドラフトを公表しました。改正法案ドラフトのまま施行されるかは不明ですが、そのまま施行される場合には在独日系企業の繰越欠損金に係る戦略やグループ内組織再編成に影響が出るものと予測されます。
  5. オランダでは、9月19日に政府より2024年税制改正案が公表されました。また9月11日にオランダ財務長官よりPillar2法案に関わる注釈(Memorandum)が公表されました。
  6. フランスでは、税務調査が厳格化します。2023年5月に一連の措置が発表されました。特に移転価格の分野では文書化義務の適用範囲が拡大します。これらの措置は2024年の法改正によって規定されます。

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